チャレンジ トピック

ファイターズファンがやって来た!

タイトルバックの写真は、3月25日土曜日の午前11時半ごろ、新札幌駅周辺のようすです。日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」行きのシャトルバスを待つ人たちの長蛇の列ができました。350人以上の人たちが並び、その長さは100m以上に達しました。新札幌でこんなに大勢の人の列を見たのは初めてでした。

ことしの新札幌は、再開発エリアに建設が進められてきた建物群が完成し、秋にはホテルや商業施設がオープンするなど、エポックメイキングな出来事が目白押しです。その第一弾が、隣の北広島に完成したエスコンフィールドのオープンです。みなさんもご存知のとおり、新札幌は球場に向かう際の主要な中継地になるからです。球場へのシャトルバスは、JR北広島駅、新千歳空港、JR野幌駅、そしてJR新札幌駅から運行されます。地下鉄を使って球場に向かう人たちは①「さっぽろ」でJRに乗り換え、北広島に行き、シャトルバスや徒歩で球場に向かうか、②「新さっぽろ」まで地下鉄で来て、シャトルバスに乗ることになります。②は乗り換えが1回で、歩かずに済みます。さらに、新札幌まで路線バスなどで来た人や、道内各地からやって来て新札幌のホテルに宿泊した人の多くもシャトルバスで球場に向かうことになります。エスコン効果でどのぐらいの人が新札幌にやって来てにぎわうのか。自分の目で確かめてみることにしました。取材した25日はヤクルトとのオープン戦でしたが、球場がオペレーションの確認のために行っていた入場制限も終わったうえに、土曜日のデーゲームとあって、かなりの人出が予想されました。

乗車までの長~い道のり

取材は、地下鉄「新さっぽろ駅」からスタートしました。改札を出た人たちは、5番出口からシャトルバス乗り場に向かいます。札幌市交通局では、駅の8か所にバス乗り場に誘導する表示を貼り出しましたが、大勢の人の流れに付いて行くと5番出口に出るという感じでした。この後デュオやJRの下を札幌方向に100mぐらい進むと、乗り場に着きます。しかし、ここからが大変でした。

まず、シャトルバスの仕組みを押さえておきましょう。

▼バスを運行しているのは「北海道バス」と「エルム観光バス」。車両はほとんどが貸し切りバスタイプ。立ち乗りはなく全員着席して乗ります。1台に乗れるのは50人弱です。所要時間は30分弱です。

▼バスの運行は、試合開始の2時間半前から試合開始後30分まで。5分から10分間隔で運行されます。

▼運賃は片道400円。支払いは、バスの乗車口でVISAタッチをするか、乗車前に券売機で乗車券を買う必要があります(現金、キタカやサピカなどは使えません)。

▼新札幌の乗り場の券売機は1台で、バスの運行開始の30分前=試合開始の3時間前から稼働します。

乗り場に着くと、ほとんどの人はまず券売機の前に並んでいました。この日の試合開始は午後2時。シャトルバスの運転は午前11時半からの予定でしたが、11時前には券売機の前に長い列ができていました。券を買うだけで30分並んだという人も少なくありませんでした。乗車券を買ったら、ようやくバス乗り場の列に並ぶことができます。この列が、冒頭でご紹介したように、つづら折りになって延々と続いていたのです。

列は手前⇛奥⇛手前、デュオ⇛乗り場と続く

この日は、通路に人があふれたため、バスの運行開始を15分繰り上げ、11時15分から乗車が始まりました。それでも、多くの人は乗車までに1時間前後かそれ以上かかっていました。みなさん待ちくたびれたという表情で、子どもをなだめるお母さん・お父さんの姿もあちらこちらで見られました。「券売機は1台じゃ足りないよ」「バスも1台ずつじゃなく、2台同時に乗車させ、少しでも早くさばいてほしい」といった声が多く聞かれました。この待ち時間の短縮は、乗客の利便性はもちろん、新札幌にとっても大きな課題だと思います。というのも、列に並んでいた多くの人たちは、新札幌にとって新しいお客さんだからです。この日新札幌から出たシャトルバスは31台、乗客は1500人余りに上りました。「どこからいらっしゃいましたか」とお聞きすると、西区、東区、中央区といった返事が返って来ました。これまでは新札幌にはあまり来たことがないという人が多く、エスコンが新札幌に新しいお客を呼び寄せてくれていることを実感しました。家族連れの女性は「時間があったらお店を見て回りたいんだけど、こうしてずっと並んでいなくちゃいけないから、どこも行けないのよ」と話していました。ということは、待ち時間が短くなれば、バスに乗る前に新札幌でショッピングやランチ・お茶を楽しむ人が増えるかもしれませんよね。

居酒屋が空いてない

さて、午後5時にはエスコンからの帰りのバスが到着し始めました。まっすぐ地下鉄の駅に向かう人たちがいる一方で、居酒屋やレストランを探す人たちもかなりいました。新球場は飲食がとても充実しているので、新札幌で食べようという人たちは果たしてどのぐらいいるのだろうと思っていましたが、あに図らんや。帰りがちょうど夕飯時と重なったこともあり、「新札幌で食べて帰ろうか」「ちょっと一杯やりますか」となったんですね。しかし、ここにも困難が待ち受けていました。満席だったり、予約でいっぱいだったりで、なかなか空ている店が見つからないのです。私は取材のためにバスから降り立った人たちに「これからどうするんですか」と次々に声をかけたのですが、逆に「どこかいいトコないですか」と聞かれてしまいました。新札幌に来たことがないという人は、どこに飲食店があるのかわからない。さらに、新札幌の飲食店は、週末は地元客だけでいっぱいというところも少なくなく、キャパがそんなにないという事情もあります。そんなわけで、ガード下を行ったり来たりする人たちの姿が見られました。後になるほど空きがなくなり、中には「もう10軒近く行ったけどダメだったので帰ります」というグループもいました。バス乗り場の付近に、新札幌駅周辺の飲食店をまとめて掲載したパンフレットが置いてあったりすればとても助かるのにと思いました。

飲食店側にも、ファイターズの観戦チケットやグッズを持っている客には、つまみを一品サービスする居酒屋や、ホームゲームの日は、商品を1割ほど増やしているベイカリーもあり、新たな動きが出始めています。ただ、多くの店では、しばらく様子を見てから対応を考えたいとしています。平日のナイトゲームの場合は、球場からの帰りが夜10時ごろからになることから、営業時間を延長するのか、スタッフのシフトをどうするかなど、さまざまな検討が必要になるといいます。いずれにしても、ホームゲームのたびに大勢の人たちが新札幌にやってくるわけです。道内各地から観戦に来る人たちの宿泊先としても注目されています。こうした人たちにいかにして新札幌のファンになってもらうか、街全体にとってとても大きな課題だと思います。

先頭に並んだご夫婦

最後に、この日バス乗り場の先頭に並んでいたご夫婦を紹介します。西区から地下鉄でやって来たといいます。フイターズファンクラブの会員で、エスコンに行くのはこの日が早くも3回目とのことでした。先にエスコンに行ったときにバスの乗車券をまとめて買っておいたということで、券売機には並ぶことなく、乗り場の先頭に並びました。先の2回ともエスコンの帰りにはサンピアザ地下の和食処で食事をしたとのことでした。もう新札幌のリピーターですよね。エスコンフィールドでは公式戦が開幕し、連日大勢のファンが詰めかけています。「あつ!ベンチャー」は、ファイターズの必勝とともに、このご夫婦のような「新札幌ファン」が増えることを切に願っています。

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