チャレンジ トピック

こんなに安くて いいんでしょうか?!

厚別区内で販売されている冒頭の写真の食器棚、値札を見てびっくりです。なんと3500円。「えっ?」って思いますよね。食器棚だけじゃないんです。学習机は3000円。タンスが3000円、自転車が5650円。どれも驚きの安さなんです。なんでそんなに安いの? それは「大型ごみ」として処分されたものだからです。

これらの「リユース品」が販売されているのは、「厚別リユースプラザ」。厚別清掃工場の跡地(厚別東3条1丁目1-1)に2009年にオープンしました。大型ごみをリユース品として蘇らせ、展示即売している札幌市の一大拠点です。倉庫なような作りですが、品ぞろえは家具屋と見まがうほどです。

厚別リユースプラザ

「大型ごみとして処分された」と言いましたが、正確に言えば、持ち主が特に「リユース」されることを希望して出した大型ごみなんです。大型ごみはを出す場合は札幌市の「大型ごみ収集センター」(℡281-8153)に電話で申し込みをします。大型ごみの種類や大きさごとに手数料が決まっていて、高さが1m以上のタンスの場合は1300円です。スーパーやコンビニなどで手数料シールを買い、これを貼ったうえで出します。通常はごみ収集車が回収に来て、生ごみなどと同じように家具も車で押しつぶし、減容化して収集します。しかし、破損がなく、そのままでも使えるような家具や自転車などの場合は、申し込みの際に「リユースしてください」と希望すれば、トラックで回収してくれます。リユースに回されるからといって、その分手数料が安くなるわけではありません。損得じゃないんですね。私も母を近所に呼び寄せる際に、実家の家財道具一切合切を処分したことがあります。母は親戚や近所の人たちに「もったいないから、もらってくれない?」と声をかけまくっていました。大切に使ってきた物だからこそ「せめて誰かに使ってほしい」 リユース品には持ち主のそんな願いが込められているんだと思うのです。

「リユース」として回収された家具や自転車のうち、確かにリユースできると判断された家具は大部分が厚別のリユースプラザに、家具の一部と自転車は西区発寒にある工房に運ばれ、化粧直しが施されます。リユーズプラザの工房では、私がお邪魔した日もタンスや書棚の化粧直しが行われていました。作業に当たっていたのは白瀬忠さん(しろせ・ただし 71)。定年退職後この仕事に就いて5年になるベテランです。作業では、まず掃除機でほこりを取ります。引き出しや戸棚の四隅もエアコンプレッサーを使ってきれいにします。この後、汚れを丁寧にふき取り、ネジもひとつひとつ締め直します。手際よく作業すること20分。「ごみ」だった書棚やタンスも清潔感のある姿に仕上がりました。作業場の引き出しを見せてもらうと、さまざまな種類のネジや家具の取っ手などがぎっしりストックされていました。ネジや取っ手が取れたりしていた場合は、このストックの中から合うものを選んで補修するとのことでした。白瀬さんは「やっぱりなるべくいい状態にしてあげたいよね。手がけたものがすぐに売れるとうれしいね」と笑顔で話してくれました。

ストックしてあるネジ・取っ手

さて、店頭をのぞくとメジャー片手にサイドボードの品定めをしてる男性客がいました。厚別区からやって来た30代の4人家族のお父さんでした。これまでにもここで子供のための学習机を買ったことがあると言います。「学習机は使う期間は短いのに、買うと結構高いんです。それでここで買ったんですが、新品同様で子供も気に入って使っています」 確かにそうですよね。子供も大きくなると大人っぽい机を欲しがるようになるし、使う期間は他の家具と比べて短いかもしれません。それなら格安のリユース品をというのも賢いやり方ですよね。「ここはイイものが本当に安くてびっくりします。みんなに知られたくはないけど、教えたい気もする、とっておきの場所ですね」 ん~、その気持ちわかります。この日は新品なら数万円はするだろうというサイドボードを3000円でお買い上げでした。

家具とともに人気なのが自転車です。これもやはり元大型ごみ。発寒の工房で化粧直しを施したピカピカのものが並んでいます。大人用のものは、3月から10月の需要期は常時10台ずつ販売されています。どれも5000円台と格安感MAXです。それぞれの自転車の前には投票箱が置かれていて、申込用紙に希望の自転車の番号と連絡先などを書いて投函します。申し込みは1人1台で、第2・第4土曜日に抽選が行われます。倍率は十数倍から20倍ぐらいの時が多いとのことです。私も取材でお邪魔した際に2度申し込みをしましたが、いずれも外れました。この日も親子連れなどが次々にやってきて意中の1台に1票を投じていました。当たるといいですね。

札幌市の循環型社会推進課によりますと、昨年度リユースプラザで売れたリユース品は合わせて2080点。その前の年度には、新型コロナで在宅勤務が増え、机などの需要が高まったこともあって、3230点もが売れたということです。モノを大切にして、賢く使えばごみも減ります。厚別リユースプラザの忍和歌子(しのぶ・わかこ)館長は「初めていらっしゃったという方たちからは、もっと早く知っていればよかったと言われます。もっと多くの人たちに知ってもらって、リユースが広がればと思っています」と話していました。まだ行ったことがないという方は、ぜひ一度足を運んでみてください。「厚別にこんなイイところがあったのか」と思うはずですから。

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