チャレンジ トピック パーソン

子どもは地域で育てる

2024年6月19日(水) BiViパーク

【ゲストスピーカー】 信濃小学校親父の会 宮川智嘉(みやかわ・のりよし)さん

1965年生まれ。千歳市職員。札幌おやじネットワーク事務局長、町内会総務部長 マンション管理組合理事長、消防団員ほか。「地域の親父になる」がモットー。

専用倉庫を持っている

親父の会では、信濃小学校の敷地内に物置を建てさせてもらっています。子どもたちを楽しませるイベントで使うさまざまな道具を入れておくためです。テントやスコップ、ブランコを作るロープ、自分たちで編んだハンモック、臼や杵、消火器、ジェットヒーターなども持っています。いろんな団体から要らなくなったものをもらったり、資金を貯めて買ったりしています。足りないものは、いろんなところから借りて来ます。「借りた時よりきれいにして返す」というのがモットーです。ネジが外れていたら、合うネジを買ってきて付けて返します。そうすると、次も快く貸してくれます。

信濃小学校親父の会とは

信濃小学校親父の会の会員は現役のPTAや、小学校を卒業した子どもの親、合わせて25人ぐらいです。今は卒業生の親が中心になって活動しています。昨年度は、ほっかいどう未来輝く子育て大賞、札幌市民憲章実践者表彰をいただきました。信濃小学校の校木が藤の木なので、その藤の花の色のTシャツを着て活動しています。このTシャツを着ている時は絶対に悪いことはできません。

活動3か条文があります。①できる人が、できる時に、できることを ②可能な限り子どもと一緒に参加 ③子どもたちより自分たちが楽しむ、です。とにかく無理をしない、ゆるーく活動するのが目標です。それに、自分が楽しまなきゃ人を楽しませることもできないと思っています。打ち合わせはいつも飲みながらやっているんです。飲んでやった方が言いたいことが言える、いいアイディアが出る、夢のある話が出てくるんです。

親父の会を発足させた先輩がまとめた資料によると、PTA活動はお母さんたちが中心だけど、親父ももっと参加すべきでないかということで、1985年に少年野球やサッカーの父親たち17人が「信濃小学校PTA交流委員会」を結成したのが始まりです。日曜参観の後に、父親100人が参加しグラウンドでソフトボールやミニバレーの交流会を開き、その後クラス担任との懇親会をやったということです。教育の場にお酒を持ち込むのはよくないというお叱りもあったということです。でも、活動を続ける中で、親父の会のメンバーがPTA会長になったり、町内会役員になったりして、少しずつ活動が認められるようになったと聞いています。

学校活動の支援

入学式や卒業式の時に「写真撮り隊」をやっています。記念写真のシャッターを押しますよという活動です。入学式の時は、お母さん・お父さんたちもまだコミュニティーができていない。でも家族の誰かが撮るとなるとその人が写らないわけです。じゃ、代わりに撮ってあげようと始めたわけです。10年以上前からやってます。親父の会で記念写真用に学校の名前や親父の会のマークの入ったバックパネルも作りました。今では、第何回入学式という看板より、このバックパネルの方が人気があります。このほか、運動会の時には会場の設営を手伝っています。

独自イベント

夏・秋・冬と年に3回、公園でプレイパークを開催しています。なるべく「やっちゃダメ」と言わないで自由な発想で子どもに遊んでもらうもので、札幌市でも推奨しています。簡単な道具・材料を用意して子どもたちに遊んでもらいます。例えば、段ボールをいっぱい用意して無造作に置いておくと、子どもたちはカッターを使って、お城を作ったり、車を作ったりします。カッターを使うのは危ないけど、危ないことも体験してみないと、なんで危ないのかわからないので、体験させてあげるのもいいのかなあと思います。木の間にロープを渡しておくと、子どもたちはそれを渡っていくんです。プレイパークには、プレイリーダーという資格をもつ人を2人以上つけることになっているんですが、親父の会では講習を受けて5人がこの資格を持っています。

冬のプレイパークでは、前日に公園の除雪作業をして準備をします。雪に埋まったベンチを掘り出したり、スノーキャンドルを飾るための通路を作ったりします。冬のプレイパークで一番人気があるのは、スノーキャンドル作りです。大きな樽に雪を入れて水を加えて固まりやすくして、それをバケツの中に詰めて作ります。入浴剤を入れて色を付けたりもしています。町内会の人たちにも手伝ってもらって、総勢40~50人で800個から1000個のスノーキャンドルを作ります。こういう手伝いは普通子どもたちは嫌がると思うんですけど、すごく楽しんでやるんですね。自分も役に立っているという達成感があるんだと思います。他にもいろんな遊びを用意しているんですが、このスノーキャンドルづくりに熱中するんです。キャンドルにはナマの火を使っています。火は危ないけど親がしっかり見守ればやけどもなく大丈夫かなと思っています。夜には子どもたちが自分が作ったキャンドルの前で、お母さんと写真を撮ったりします。町内会の婦人部の方にも協力してもらい、子ども食堂の調理場を借りてフライドポテトとポタージュを作って、子どもたちに振る舞っています。

手持ち花火大会は、子どもたちに好きなだけ、飽きるぐらい花火させてやろうと、公園の野球場を借りてやっています。1万5000本位の花火を買って楽しんでもらいます。親子で500人位が参加します。打ち上げ花火も親父の会で安全を確保しながら何百本も上げます。煙も出て周りに迷惑もかけますが、事前に周知しますし、会場のグラウンドも翌朝に足を踏み入れるのももったいないぐらいきれいにするので、一切苦情はありません。

ペットボトルロケット大会では、親子でペットボトルロケットを作って、飛ばしてもらっています。7月23日にもやります。

餅つき大会は、卒業・進級おめでとうをかねて3月にやっています。会館の駐車場で餅をついて、中で食べています。町内会や、高校生・大学生にも手伝ってもらっています。特に厚別高校の野球部員が20人位来てくれて、助かっています。

町内会でも活躍

今まで見てきたように、地域の人たちに親父の会の活動を手伝ってもらっていますが、そのお返しとして親父の会も町内会などの活動に参加しています。町内会の盆踊りでは焼きそばや焼き鳥の出店を親父の会が手伝っています。信濃神社のお祭りの神輿巡行の際には安全管理をやっています。国道12号線沿いの花いっぱいでも、力仕事の土起こしや草取りなどを担当しています。

さらに広がる活動エリア

さらに区全体のイベントなどでも活動しています。新さっぽろ冬まつりでは、小さな滑り台3基作っています。イベントの1週間ぐらい前から、夜、仕事の後に集まって1~2時間ぐらい作業をします。小さな滑り台は待たなくても滑れるので、何十回も滑る子どももいます。このほか、野幌森林公園近くにある小野幌青少年キャンプ場の設営・撤収や草刈りなども手伝っています。

子どもは地域のかすがい

パワーの源は、子どもたちを楽しませたいという思いです。同時に自分たちも楽しむ。決して無理をしない。出て来たアイディアは、どうやったら実現できるかと、ポジティブに考えています。

今は核家族化が進んで、仕事をしているお母さんも増えているし、お父さんもなかなか休みが取れない、子どもも習い事で忙しくしているという感じで、家庭の中だけで子育てをするのは難しくなってきていると感じます。だったら、地域全体で育てていく、子どもを遊ばせる中で、ルールなども身に着けてもらえればと思っています。いかにたくさんの子どもたちの名前を言えるかが地域力だと言われたことがあるし、名前は言えなくても顔見知りになれば、不安はなくなると思います。

子はかすがいと言われますが、地域にとってもかすがいだと思います。私たちのイベントに、子どもにくっ付いて親が集まることによって、多世代交流が生まれる、町内会にとっても、高齢化してできなかったことでも、私たちが手伝うことによって、負担軽減にもなるし、いろんな人たちが参加するようになります。親父の会のイベントも町内会やお母さん方に手伝ってもらう、逆に私たちもお返しする。そうして地域のあらゆる団体の方々とつながって行くことで、WIN-WINのいい関係が築けると思います。

厚別高校の野球部の方に餅つきや、滑り台を作る時に大変に世話になっているので、お返しに札幌ドームで試合をさせてあげたいと画策中です。ドームを借り切って、観客も入れて、吹奏楽も呼んで応援してもらおうかと、壮大なことを考えています。40~50万円かかるようですが、何とか実現したいです。

子どもが親のやることや地域の大人のやることを見て、しっかり行動できるようになるというのが私の理想です。体が続く限りやっていきたいと思います。

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